「なんという情けない格好だ」

 トイラとキースが檻に入れられているその無様さにジークは侮蔑をこめて笑う。

 ゆっくりと近づき、じわじわと恐怖を植えつける。

 ユキの胸がそれに反応し、ユキを苦しめ出した。

 その痛みは今まで以上の激しさで、体がバラバラに砕けそうになっていた。

「ユキ! くそっ、仁、早く鍵を壊せ」

 トイラは檻の中で無駄に暴れる。

 落ち着きを失い、ただバタバタするしかできなかった。

 このままではユキが死んでしまう。

 なすすべがないまま、檻を力強くガタガタさせていた。

 仁も余計に焦ってしまい、何で鍵を壊せば良いのかわからない。
 あたふたと辺りを闇雲に触っては探しまくる。

 変なものばかり手に掴み、何をしていいのか完全に見失っていた。

「仁、焦るな。大丈夫だ。しっかりしろ」

 キースは落ち着かせようと声をかけるが、自分もいっぱいいっぱいで落ち着いてられない。

 ジークはユキの側にじりじりと弄ぶように近寄った。

 檻の中でトイラがさらに暴れる。

「ユキに近づくな!」

 トイラが叫ぶが、ジークはそれがおかしくて仕方がない。

「ほんとに檻の中の豹だな」

 ユキを連れて行こうとジークはユキの体に触れた。

「ああああああ」

 ユキは絶叫した。

「ユキ!」

 トイラが悲痛の声を上げた。