裏手がぼっと明かるい。

 ──あそこに部屋がある。

 柴山は走ってかけつけ、部屋の窓からそっと覗いた。

「あっ、トイラとキースがいる」

 柴山の声で、ユキは吸い付くように窓にへばりついた。

 狭いケージの中でトイラが体を折り曲げている。

 その隣に狼のキースも飼い犬のように大人しくしていた。

 ユキは窓を激しく打ち叩く。

 トイラはユキの顔を見ると喜びのあまり、ケージの柵を握り締めガタガタと思いっきり揺らし始めた。

 キースは尻尾を振っている。

「どうやって中に入る?この窓ちょっとやそっと叩いただけでは割れそうにないぞ。あまり派手な音立てて、気づかれても大変だ」

 柴山は下がって側にあった石を力の限りぶつけてみた。防犯ガラスなのか割れない。

「柴山さん、こっち、ドアがあるよ」

 仁がドアノブをガチャガチャとまわす。

 もちろん鍵がかかっていた。

 体当たりしてみるがびくともしない。

「仁、なんか大きな石見つけてこい、ドアノブを壊す」

 仁もユキも必死に辺りを探し出した。