柴山が警察署で取調べを受けていることを知り、良子は面会するつもりで出向いていた。

 事件のことはニュースで一通り把握している。

 良子はユキを使ってまで、豹と狼のことを暴こうとした柴山が情けなくて仕方がない。

 だが放っておくこともできなかった。

 そう仕向けたのは自分のせいだ。自分が写真の記事を馬鹿にした。

 柴山がすぐムキになって暴走することを、良子はよくわかっていたはずなのに。

 現行犯逮捕で、保釈保証金で拘留が解かれる確立は低いだろうと思いながらも、それができるのなら、お金を出すつもりでいた。

 良子は入り口で行ったり来たりとなかなか警察署に入り込めないでいた。

 そこにユキと仁が息を切らして現れたから、良子は目を見開いて驚いた。

「良子さん。こんなところで何してるの」

 仁が息を切らせながら言った。

 良子はユキを見て申し訳ない顔をする。

「ユキちゃん、柴山が馬鹿なことをしてしまって、本当にごめんなさいね。怪我なかった」

「良子さんが謝ることじゃないし、大丈夫です。それよりもトイラとキースが心配です」

「トイラは豹だったのね。怪我の手当てをしたとき、私もどこかおかしいと思ってたの。ユキちゃんも、仁も知っててあの時連れて来たのね。私がちゃんとわかってたら、柴山がこんな馬鹿なこと起こさないようにできたのに」

「違うんだ、悪いのは僕なんだ。柴山さんは本当は悪くないんだ」

 仁はまたいたたまれなくなった。

 自分のせいで柴山を犯罪者にしてしまったと、再び自責の念にさいなまれていた。

「とにかく、今は誰が悪いとかそういう問題じゃないの。早くトイラとキースに会わなきゃ」