「仁、もういいわ。あなたは悪くない。悪いのはジーク。人の弱みにつけこんでこんなことするなんて許せない」

「ユキ、ごめん。ほんとにごめん」

「それより、トイラとキースを助けなくっちゃ。協力してくれる?」

「もちろんさ。でもどうやって助けたらいいんだろう」

「今から警察署に行くわ。一緒についてきて」

 二人は膳は急げと鉄砲玉が放たれたように玄関を飛び出した。

 仁の母親とドアの前ですれ違った。

「あら、仁、ユキちゃん、どこへ行くの」

「おばさん、ほんとにありがとう。とにかく急いでるので、また後で」

 二人は通路を走っていく。

 仁の母親はそれが微笑ましかった。自分の息子が好きな女の子に一生懸命になってる姿を応援してやりたくなった。

「仁、しっかりユキちゃんを守りなさいよ」

「うん、わかってるよ」

 仁の母親は二人の後姿を見えなくなるまでみていた。