そして、その真夜中のこと。

 外がニャーニャーと騒がしく、それで目が覚めてしまったが、動物の声が暗闇から聞こえてくるのは不安にさせられた。

 猫の発情期なんだろうか。

 犬の遠吠えも遠くから聞こえてくる。

 時計を見ると二時を回っている。

 こんな夜更けに猫の集会でもやっているのだろうか。
 気になってユキはベッドから起きて、恐々としながらそっと窓を開けて下を覗き込んだ。

 やはり何やら暗闇の中でうじゃうじゃとうごめいているような気がする。

 ユキがはっと息を呑んだと同時に気配を感じたのか、そこに居たものが蹴散らすように四方八方に姿を消した。

 暗くてはっきりと見たわけではないが、あれらは猫だったように思えた。

 だがそれが猫であったとしても、自分の庭にたくさん集まって一体何をしていたのかよくわからない。

 それよりも本当に自分の目で見た現実のことだったのだろうか。窓を閉めたとたん、自信がなくなった。

 夢の中をさまよっているような気もして、ユキはあくびをしながらベッドに戻る。

 まだどこかで猫が鳴いているような気がして、不思議な感覚に捉われながら、再び眠りについていた。

 夜が明けて目覚めると、ユキはもう一度外を確かめた。

 そこにはいつもの光景が広がるだけで、何もいなかった。

 しかし、ちゅんちゅんと朝になると煩くさえずるすずめの声すら聞こえず、日差しだけが差し込んでくる静かすぎる朝だとユキは思った。