ミカは恥ずかしげもなくキースの腕を組んだ。

 キースは嫌がりもせず、素敵な笑顔を振りまいていた。

 それが効果をもたらし、また女生徒達はキースの元に集まってきた。

 戸惑って、ただ様子をみてただけなのだろう。

 実際自分の目でその事実を見たことなければ、本当に黒豹や狼に変身するなんて普通信じられるはずがない。

 ユキはほっと胸をなでおろした。

 図太いミカだから、例えキースが狼であっても気にしないことだろう。

 クラスの雰囲気をかえるなんて、ミカも役に立つことがあるもんだとユキは思った。

 陰険だけど……と付け足しも忘れなかった。

 そのとき、仁が廊下を歩いていくのがユキの目に入った。

 咄嗟に追いかけて、教室に入ろうとする仁を呼び止める。

「仁、話があるの」

「ユキ、もう先生が来るよ。また後でいい?」

 仁は冷たくあしらって自分の教室に入っていった。

 優しくてお人よしの仁が急に非情に変わってしまい、ユキは悲しくなってくる。

 それでも裏切ったことは許せない。

 ユキはくすぶった感情を抱いて、どうすべきなのか考え込んでいた。