登校途中、無節操に質問攻めにあうが、ユキは硬く口を閉ざして平然と無視をしていた。

 トイラとキースの周りは、一定の距離を保って、レポーターもカメラも様子を見ている。

 言葉の違いだけではない、近づきにくい理由がありそうだった。

 ユキには遠慮なくずけずけといいたい事を言っている。

「この外国人は、本当に豹と狼に変身できるんですか。そしてあなたはそれを知っていて一緒に住んでるんですか」

「なんの目的でこの動物に変身できる外国人を世話してるんですか」

「あなたも、何かの動物に変身できるんですか」

「本当のことを話して下さいよ」

 しつこいレポーターのアホらしい質問に、ユキは切れそうにこめかみをひくひくさせている。

 だが、ぐっとひたすら堪えていた。

 そして突然立ち止まった。

「あの、ほんとにそんなことを信じてレポートされてるんですか? これが本当のことだと思いますか? 写真だけではコラとかも考えられるし、それこそ、町おこしのために、誰かが仕組んだことだと思えませんか? これは絶対誰かがやらせでやってるんですよ。ほんと考えたらわかりそうなことだと思うんですが」

 仕事だから仕方なく馬鹿な事を演出してわざとやっているのかもしれない。

 ユキの言葉はレポーターたちを一瞬でも黙らせるには効果があった。