朝になり、トイラが目覚めれば、ユキはまだ傍で寝ていた。

 ユキの方向に体を向け、手で自分の頭を支えて、じっとユキの顔を見つめていた。

 思うことはただ一つ。

 どうしたらユキを助けられるかだった。

 何度も考えたところで、知らないことはわかるはずがない。

 トイラは大蛇の森の守り主の言葉を何度と思い出していた。

 大蛇の森の守り主の言葉の中にヒントがあるのではと考えてみる。

 森の守り主になる自分に必ずわかるのなら、わかるはずだと自分を信じることにした。

 ジークとの戦いの時に、体の中から出てきたあの力、あれも一体何を意味するのだろうと、森の守り主とは一体何なのか、神経を集中させていた。

 ふと、昨晩のユキの言葉を思い出す。

 黒豹の姿と人の姿の自分、どっちが本来の姿なのか、そんなこと考えたこともなかったと、その時気がついた。

 どっちも自分自身には間違いがない。

 でもあの底知れぬ力を感じたとき、自分ではなかったように思えてならない。

 どこからあんな力が出たのだろう。

 そしてあの時自分はどこへ行ってしまったのだろうか。

 トイラは自分のことすら何一つわかってないことに呆れてしまった。

 それよりもユキを助けて、自分はその後、人間になれないだろうかと浅はかな事を考えてしまう。
 ユキが自分の命の長さに合わせられないのなら、自分が逆に合わせることはできないだろうか。

 そうすれば、同じ時間の流れの中で、命ある限りユキと一緒にいられる。

 太陽の玉でユキは森の住民にはなれないのなら、自分が人間になれないものだろうかと、発想の転換のようにトイラは希望を抱いた。

 だが、まずユキを助けなければ元も子もない。

 また振り出しに戻ってトイラは一から考え直していた。