トイラが部屋のドアを閉めて、ユキをみつめた。

 真剣な表情そのものだった。

「俺に任せろ。絶対気持ちがよくなるから」

「えっ? 何が……」

 段々とゆっくりトイラが近づいてくる。

 ユキは思わず目を瞑ってしまった。

 暫くずっとそのまま立っていたが何も起こらない。

「おい、いつまで目を瞑ってそこで立ってるんだ。早く座れよ」

 ユキが恐る恐る目を開けて前を見ると、トイラは床に座り込んでいた。

 目の前に小石が数個おいてあった。

 ユキが呆然としていると、トイラはユキの手を引っ張って、 無理やり座らせた。

「ほら、今から説明するから。いいか、この小石を全部積み上げるんだ」

 ユキの目が点になっている。

「トイラ、これ何?」

「これは俺達、森の守り駒の秘伝だ。まあおまじないというのか、縁起担ぎというのか、とにかく、心を軽くしてくれるものなんだ。こうやって石を全部積んでいくんだ。これがなかなか難しいんだぜ。やってみろ」

 ユキは訳がわからないまま、そこにあった形が様々な小石を積んでいった。だが平らじゃなくてなかなか上に積めない。

「ユキ、よく考えなくっちゃ。それぞれの石の形をよくみて。ただ積もうとするだけじゃ、絶対できないよ」

 何度も何度も積み上げてもすぐに倒れる。

「ほらよく見て、これとこれをこうやってこうするんだ」

 トイラがやると、簡単に積み上げていった。

「でもこれ何? なんのためにこんなことするの?」