「玉葱が食べられないって、二人とも子供ね。私なんて玉葱大好きよ」

 ユキが皮肉ってもふたりは聞いてなかった。

 そのうちキースも食べだした。

「へぇ、魚って結構おいしい。これって猫の食べ物だと思ってたよ」

「なんでそこで猫がでてくるのよ」

 でもユキは欧米の食生活を振り返っていた。

 確かに魚を食べる人は少なく、肉ばかりだった。
 おいしい新鮮な魚を手に入れるほうが難しかったかもしれない。

 ふと、トイラの方を見れば、骨まで食べたのか、あっと言う間に魚の姿が消えていてびっくりしてしまった。

「やだ、トイラ、魚の骨まで食べたの。よく食べられたわね」

 キースはそれを聞いてまたクスクスと肩を震わせていた。

 キースはよく喋るし、人懐こい。
 調子いい言葉がぽんぽん出てくる。

 それとは対照的に口数が少ないトイラ。
 何もかも自分のペースを乱さず我が道を行っていた。
 
 ユキはこのふたりに興味が出てきた。

「ねぇ、二人は友達なの? だから一緒に留学してきたの?」

 ユキの言葉に、トイラの箸を持つ手が止まった。

「俺が、こいつと友達? まさか」

 そういったのはトイラだった。

「おいおい、僕たち友達じゃないか。付き合いも長いし、まあ特別仲がいいって訳でもないけど、知らない仲でもないだろう」

 茶化しているようにも、呆れているようにも、憤慨しているようにも見えたが、結局キースは仕方がないと肩を竦めた。