「すまない、起こしちまったか」

「あっ、トイラ、汗びっしょりよ。大丈夫?」

 ユキが側にあったタオルで顔を拭いてやる。

「ユキ、ここにきて、俺を抱きしめてくれないか」

 トイラの表情は怖いものをみた子供のように怯えていた。

 何かにすがらないとどこかへ流されていきそうで、ユキに助けを求めた。

 こんな弱気なトイラの姿を、ユキは見たことがなかった。

 ユキは、躊躇うことなくトイラのベッドに入り、トイラの腕を枕にして一緒に添い寝してやる。

「怖い夢でも見たの?大丈夫よ。私が傍にいるから」

「ありがとう、ユキ。君のぬくもりを感じると安心するよ」

 安らぎを得るように、二人は抱き合ったまま、そのまま再び眠りについていった。