5
その晩、トイラはベッドの中でうなされていた。
オムニバスのように夢が次々と現れては、物語を成さずに消えてゆき、また新たなシーンが始まる繰り返しだった。
過去の戦い、自由奔放に森の中で過ごした日々、お気に入りのあの大きな木、キースや仲間との触れ合い、ユキとの出会い、そして大蛇の森の守り主が混ざり合って出てきた。
そのとき、ところどころに無の空間が現れ、それがブラックホールのように全てを吸い込んでいった。
とてつもない恐怖を感じ、トイラはそれに追いつかれないように走って逃げている。
体が思うように動かず、自分自身もとうとう無に引き込まれて行った。
辺りは漆黒の闇で何も見えない。
何かの気配が突然すると、唸り声が聞こえた。
緑の光が二つぼやっと浮き出て、段々と自分に向かってくる。
それが黒豹の自分自身の姿だと気がついたとき、ありえない状況に目を疑った。
黒豹は、夢の中の人の姿のトイラを激しく睨んでいる。
そして突然牙をむき出し襲い掛かった。
「やめろ、俺はお前だ!」
夢の中で叫んだとき、トイラはぱっと見開くように目が覚めた。
汗を掻き、心臓が激しく動いていた。
首を横に向けると、ユキがパジャマ姿で、ベッドの端に顔をふせるように寝ているのに気がついた。
(ずっと看病してくれてたのか)
トイラはそっとユキの髪に触れた。
起こすつもりはなかったが、ユキはそれに気がついて目覚めてしまった。
その晩、トイラはベッドの中でうなされていた。
オムニバスのように夢が次々と現れては、物語を成さずに消えてゆき、また新たなシーンが始まる繰り返しだった。
過去の戦い、自由奔放に森の中で過ごした日々、お気に入りのあの大きな木、キースや仲間との触れ合い、ユキとの出会い、そして大蛇の森の守り主が混ざり合って出てきた。
そのとき、ところどころに無の空間が現れ、それがブラックホールのように全てを吸い込んでいった。
とてつもない恐怖を感じ、トイラはそれに追いつかれないように走って逃げている。
体が思うように動かず、自分自身もとうとう無に引き込まれて行った。
辺りは漆黒の闇で何も見えない。
何かの気配が突然すると、唸り声が聞こえた。
緑の光が二つぼやっと浮き出て、段々と自分に向かってくる。
それが黒豹の自分自身の姿だと気がついたとき、ありえない状況に目を疑った。
黒豹は、夢の中の人の姿のトイラを激しく睨んでいる。
そして突然牙をむき出し襲い掛かった。
「やめろ、俺はお前だ!」
夢の中で叫んだとき、トイラはぱっと見開くように目が覚めた。
汗を掻き、心臓が激しく動いていた。
首を横に向けると、ユキがパジャマ姿で、ベッドの端に顔をふせるように寝ているのに気がついた。
(ずっと看病してくれてたのか)
トイラはそっとユキの髪に触れた。
起こすつもりはなかったが、ユキはそれに気がついて目覚めてしまった。