トイラは居間のソファーに横たわり、毛布をかぶって天井を見ていた。ユキはトイラにおいしいものを作ろうと、台所で忙しく料理をしている。

「トイラ、大丈夫か。誰に手当てをしてもらったんだ。それに送ってきたあの男は何者だ?」

 トイラは一部始終をキースに説明した。

 特に狼と豹がでる噂が立って、嗅ぎ付けようとしている輩がいることを懸念するかのように、柴山には注意しろと 一言添えていた。

「そっか、色々と調べてるときに、あちこちで見られたのかもな。ネットで情報を拡散されたら噂も立つだろう。まあ僕たちが気をつければ問題ないさ。とにかく早く体を治せよ。魔物の実の毒素は抜けるのに時間がかかる。トイラが動けないときに、ジークがやってきたら大変だ」

「それは大丈夫だ。ジークもかなり弱っているはずだ。連続して俺から傷を受けている。奴もすぐには手がでない。俺の力にびびっていたようにも見えた。それより今日の戦いで、俺、変な気持ちになったんだ。一瞬自分じゃなくなった気がした」

「どういう意味だ?」

 キースが興味をもった。