ユキ達が家につくとキースは一足先に帰っていた。

 車の音を聞いたのか、帰りの遅いトイラを心配して、家の前に出てきた。

「あれっ、もう一人、外国人がいるんだ。へぇ、ユキちゃんの家は国際化してるね。あの金髪のかっこいい男の子は名前なんていうの?」

 柴山は何かのネタ探しなのか、興味を持った。

「彼は、キースです」

「トイラとキースか。なんかいいね。絵になるよ。こんな田舎町で外国人がふたりも留学してくるなんて、やっぱり何かあるね」

「いえ、ただの偶然です」

 ユキは我慢できなくなって、つい強く言ってしまった。

 柴山はユキに突っ込まれて笑っていた。

 キースがトイラを抱えて、家に入っていく。

 ユキは柴山にお礼を言った。

 柴山はクラクションを一回鳴らし、車を走らせて帰っていった。

 車が去ると、ユキは大きくため息をついた。
 
 願わくば柴山にもう二度と会いたくない気分だった。