一方でユキはジークの出現で、胸の痛みが一気に強まり、うずくまって苦しんでいる。

 そこを容赦なくジークが近づいた。

「さて、ユキ、一緒に来て貰おうか」

 ジークがユキの制服のブレザーの襟を両手で掴み持ち上げた。

「あっ、あああー」

 ユキは激しく悲鳴を上げる。

「ユキから離れろ」

 懇親の力を込めて必死に立ち上がり、トイラはよたついた足取りで立ち向かうが、もう体が限界で立つことすら苦しい。

 ジークの足元で突然ばたっと倒れてしまった。

「あっははははは。愉快だ。トイラが立てない」

 ジークは足でトイラの頭を踏みにじった。

 トイラの顔は半分地面に埋もれていく。

 悔しい気持ちが顔中に現れ、歯をむき出しにし必死に抵抗しようとするが、それ以上動くことすらできなかった。

「ジーク、やめて!」
 ユキは苦しみの中声を絞り出して叫んでいた。