学校をさぼった後の次の日、この日は土曜日で半日だけの授業だった。

 一層のこと休めばよかったとユキは思ってしまう。

 中途半端に学校に出てきたせいでダラケテしまい、手で口を隠し欠伸しながら、ユキは登校していた。

「俺が傍にいれば退屈しないさ」

 トイラはユキの肩に手を回そうとする。

 障害はなくなったとはいえ、急に二人が仲良くする姿は人前では見せられず、ユキは払いのけた。

「何でだよ」

「トイラ、やっぱり人前では気をつけよう。今まで通りの振る舞いをしなくっちゃ。ただでさえふたりで休んだし、一緒に住んでるし、みんな変なこと想像しちゃうよ」

「いいじゃん、もう変なことした後だし」

「お前ら、もうそんな仲だったとは」

 キースがわざと大げさに驚いた顔をした。

「違うに決まってるでしょ」

 ユキは恥ずかしさと怒りで顔が赤くなった。

 青空の下、ふざけあうトイラとキース。ふたりが笑ってる姿を見るとユキの心は軽くなる。

 穏やかで、幸せを感じるひと時だった。

 何よりもトイラが傍にいる。

 森で過ごしたときと同じだ。あの時のままユキは幸せだと思った。

 まだ生きて16年そこそこだが、人生の中でこのときが、一番輝いていると、自信をもって言えた。