「ちょっとキースが戻ってきたら、誤解する。やめて」

「誤解? それなら、これでどうだい。誤解も何も、真実さ」

 トイラはそのままの姿勢でユキの口にキスをした。

 ユキの心臓は飛び出しそうになるくらい、激しくどきどきと音を立てていた。

 その時バサッと何かが落ちる音を聞いた。
 二人が同時に庭を見ると、仁が顔を真っ青に驚愕して立っていた。

「仁!」

 ユキもトイラも驚いた。

 慌てて体制を整えれば、並んで正座になっていた。

 そして仁はそこでくしゃみをしてしまった。

「ユキ、一体これは何だよ」

 仁は何に対して驚いているのだろう。

 キスだろうか、それとも黒豹になったトイラだろうか。

「仁、一体、何を見たの?」

 ユキは恐る恐る、消え入りそうな声で聞いた。

 激しくショックを受けた仁は、動揺しきってどうしていいか分からず逃げてしまう。

 コンビニのビニール袋がその場に落ちている。

 中からゼリーの容器がコロンと地面に転がっていた。