2
園内を殆ど見終わった後、人があまり来ない動物園のはずれをユキとトイラは歩いていた。
ユキはそっとトイラの横顔を見つめる。
トイラが気づいてユキに視線を向けた。
その目は優しく微笑んでいる。
もう睨んだあの怖い顔は見せることはなかった。
睨まれていてもあの緑の目にユキは魅了されていたから、初めて出会ったときから釘付けだった。
「なんだよ、そんなに見つめて、俺の顔になんかついてるのか」
「その緑の目に魅了されるの。一度見たら忘れられないほどに。今日周りにいた人たちもそうだったね。トイラに見惚れてた。外国人だし、ハンサムだし、もてる要素たっぷりだよね」
「でもユキは、俺が黒豹の姿でも好きでいてくれるだろ」
「もちろんよ。その緑の目。これだけは人の姿のあなたでも、黒豹の姿のあなたでも、全く変わらない。私はあなたがどんな姿であっても、大好きよ」
素直に自分の気持ちが伝えられる。
ユキはどきどきと胸が高鳴っていた。
恋する純粋なユキを見ると、トイラも気分が高揚する。
感情が湧き出て飛び跳ねたくなり、つい黒豹の姿になった。
「えっ、トイラ、それは……」
ユキは思わずトイラに走りより、周りから隠すように、黒豹のトイラの首に抱きついた。
「トイラ、見つかったら、あんたここの動物園行きよ。それこそジャガーと同じ場所に入れられちゃうわ。そんなの嫌」
「ほうら、よく見てごらん」
ユキが再び見ると、トイラはもう人の姿に戻っていた。
「もう、冷や冷やさせるんだから」
「いつまで抱きついてんだ。それこそジロジロ見られるだろうが」
「いいの、これは」
マジかで見るトイラの顔。まだ一度もキスをしていない。
こんなにも好きなのに、近くにいるのに、どうしてキスの一つもしてくれないのだろう。
(自分から迫ってみようか)
トイラの顔を見上げて、ユキは口を突き出してみた。
園内を殆ど見終わった後、人があまり来ない動物園のはずれをユキとトイラは歩いていた。
ユキはそっとトイラの横顔を見つめる。
トイラが気づいてユキに視線を向けた。
その目は優しく微笑んでいる。
もう睨んだあの怖い顔は見せることはなかった。
睨まれていてもあの緑の目にユキは魅了されていたから、初めて出会ったときから釘付けだった。
「なんだよ、そんなに見つめて、俺の顔になんかついてるのか」
「その緑の目に魅了されるの。一度見たら忘れられないほどに。今日周りにいた人たちもそうだったね。トイラに見惚れてた。外国人だし、ハンサムだし、もてる要素たっぷりだよね」
「でもユキは、俺が黒豹の姿でも好きでいてくれるだろ」
「もちろんよ。その緑の目。これだけは人の姿のあなたでも、黒豹の姿のあなたでも、全く変わらない。私はあなたがどんな姿であっても、大好きよ」
素直に自分の気持ちが伝えられる。
ユキはどきどきと胸が高鳴っていた。
恋する純粋なユキを見ると、トイラも気分が高揚する。
感情が湧き出て飛び跳ねたくなり、つい黒豹の姿になった。
「えっ、トイラ、それは……」
ユキは思わずトイラに走りより、周りから隠すように、黒豹のトイラの首に抱きついた。
「トイラ、見つかったら、あんたここの動物園行きよ。それこそジャガーと同じ場所に入れられちゃうわ。そんなの嫌」
「ほうら、よく見てごらん」
ユキが再び見ると、トイラはもう人の姿に戻っていた。
「もう、冷や冷やさせるんだから」
「いつまで抱きついてんだ。それこそジロジロ見られるだろうが」
「いいの、これは」
マジかで見るトイラの顔。まだ一度もキスをしていない。
こんなにも好きなのに、近くにいるのに、どうしてキスの一つもしてくれないのだろう。
(自分から迫ってみようか)
トイラの顔を見上げて、ユキは口を突き出してみた。