悲しいうつろな目で、ユキはソファーに座り、キースがユキの膝の怪我の手当てをしている。

「痛っ」

 ユキの体がびくっとなった。

「あっ、ごめん、しみた?」

「ねぇ、なんで私、鳥に襲われたの? 前もスズメに襲われたことがあったし、私、鳥に嫌われてるのかな。いろんな人に嫌われて、私ってほんとそういう体質なんだ」

「何言ってるんだ。ユキはいい子だよ。嫌いになる奴がおかしいんだ」

 キースはユキのひざに絆創膏を貼ってやった。

「じゃあ、なぜトイラは私のことを嫌うの」

「ユキは誤解しているだけだ。トイラは ……」

 キースがそこまでいいかけて、顔を逸らして黙り込む。

「どうしたの、キース。何が言いたいの?」

「ううん、僕が言う問題じゃない。ユキが自分で見つけないといけないんだ。そのうちわかるよ」

「キース、お願い、教えて。私に何がわかるっていうの」

 キースは手当てを終えると、立ち上がった。

「僕、ちょっとトイラを探してくるよ。あいつこのままだと、自分から帰ってきそうにもなさそうだ」

 キースは悲しい笑みを浮かべて、自分は何もできないんだと目で訴えていた。

 そして、トイラを探しに出て行ってしまった。