「あんたさ、自分はいつも人と違うって思ってない? それでいて自分は正しいとか思ってるでしょ」

 マリは呆れて言った。

「えっ?」 

 それは的を外さない弓矢のように、ドンぴしゃりとユキの心臓に突き刺ささる言葉だった。

「私が春日さんのこと嫌いなのはそういうところ。アメリカかカナダかしんないけど、ちょっとそんなところで育ったからって、何が私達と違うの? 英語は話せるかもしれないけど、それが自慢すること? それなら私だってあなたよりバレーボール上手いわよ。他の人だって、あなたより優れた能力一杯持ってるわ。 すぐに海外ではどうとかよく言ってたけど、日本だってあなたが知らないだけで、いろいろあるわ。ちょっと向こうの世界知ってるからって、そっちの方がどうして良いことだって決め付けるの? 自分の見たものしか価値観がないのね。遠くに目を向けることができても、今の目の前の状況に目を向けることができない人だわ。もっと自分から溶け込めばいいのに。お高く止まって努力をしようとしないだけ」

 マリの全てが的を射ていた。

「矢鍋さん……」

「ふん、あなたに構ってる時間なんてないの。じゃあね」

 マリは体育館に足を運んでいった。

 ユキの厚い殻にヒビが入っていく。

 誰もこんな風に言ってくれる人なんて居なかった。

 ユキの事をしっかりみているからこそ、言えた言葉だった。