6
翌日、トイラとキースがキッチンに下りて来れば、いつも朝食の支度をしているユキがいない。
代わりに、テーブルの上に、トイラの大好きな焼き魚とキースの大好きなベーコンが、ご飯と味噌汁と一緒に添えられていた。
弁当も二つ布にくるまれて、家の鍵も並んで一緒に置いてあった。
トイラとキースはお互い顔を見合わせて渋い顔つきになっていた。
「ユキ、まだ怒ってるのかな」
ベーコンをつまみキースが言った。
「怒ってねぇーよ。怒ってたら、朝食なんて作んないよ。しかも俺達の好物なんか置いてさ」
トイラは焼き魚をじっと見つめていた。
「だよな。だったら早く食べて、学校行こう。この間になんかあったら大変だ」
「ああ」
ユキが朝食を準備している姿を想像しながら、トイラは魚をぱくついた。
ユキの優しさが身に沁みる。
自分の中途半端な態度がユキを混乱させ、些細なことですれ違い続ける。
トイラは自分の置かれている立場を一層強く考えてしまう。
ユキを好きな気持ちを封印せねばならない。嫌われた方がよっぽど楽だ。
トイラは思いを断ち切る覚悟を決めて、目を閉じて魚の骨を力強く噛み砕いていた。
トイラは自分の背負ってるものが重過ぎて、逃げてしまう事を選んでしまった。
翌日、トイラとキースがキッチンに下りて来れば、いつも朝食の支度をしているユキがいない。
代わりに、テーブルの上に、トイラの大好きな焼き魚とキースの大好きなベーコンが、ご飯と味噌汁と一緒に添えられていた。
弁当も二つ布にくるまれて、家の鍵も並んで一緒に置いてあった。
トイラとキースはお互い顔を見合わせて渋い顔つきになっていた。
「ユキ、まだ怒ってるのかな」
ベーコンをつまみキースが言った。
「怒ってねぇーよ。怒ってたら、朝食なんて作んないよ。しかも俺達の好物なんか置いてさ」
トイラは焼き魚をじっと見つめていた。
「だよな。だったら早く食べて、学校行こう。この間になんかあったら大変だ」
「ああ」
ユキが朝食を準備している姿を想像しながら、トイラは魚をぱくついた。
ユキの優しさが身に沁みる。
自分の中途半端な態度がユキを混乱させ、些細なことですれ違い続ける。
トイラは自分の置かれている立場を一層強く考えてしまう。
ユキを好きな気持ちを封印せねばならない。嫌われた方がよっぽど楽だ。
トイラは思いを断ち切る覚悟を決めて、目を閉じて魚の骨を力強く噛み砕いていた。
トイラは自分の背負ってるものが重過ぎて、逃げてしまう事を選んでしまった。