5
「ユキちゃん、この破れ方は、はさみで切られたものね。誰かに意地悪されたの?」
仁の母親に訊かれるや否や、ユキの目に涙が溜まっていく。
「やっぱり学校で何かあったね。よかったらおばさんに話してみて」
優しく言われると、我慢していたものが内側から溢れてきてしまう。
ユキはシャツだけじゃなく、手紙やカッターナイフのことも話してしまった。
親身になって、温かく包み込んでくれる仁の母親。その行為にユキは甘えてしまう。
「おばさん、ごめんなさい。初めて会ったばかりなのに、私つい……」
「いいのよ。ユキちゃん、時には弱いところがあったって恥ずかしいことじゃないわ」
抱きしめようと手を広げてくる。
ユキは羽根布団にくるまれた感覚で、その母親の腕の中にいた。
香水の匂いがする。
ほんわかとやわらかな甘いピンク色を思わせる香り。
まるで魔法をかけられているみたいに心地いい。
仁がドアの隙間から気になって覗いている。
気づいた母親は手であっち行けと知らせていた。
「ユキちゃん、この破れ方は、はさみで切られたものね。誰かに意地悪されたの?」
仁の母親に訊かれるや否や、ユキの目に涙が溜まっていく。
「やっぱり学校で何かあったね。よかったらおばさんに話してみて」
優しく言われると、我慢していたものが内側から溢れてきてしまう。
ユキはシャツだけじゃなく、手紙やカッターナイフのことも話してしまった。
親身になって、温かく包み込んでくれる仁の母親。その行為にユキは甘えてしまう。
「おばさん、ごめんなさい。初めて会ったばかりなのに、私つい……」
「いいのよ。ユキちゃん、時には弱いところがあったって恥ずかしいことじゃないわ」
抱きしめようと手を広げてくる。
ユキは羽根布団にくるまれた感覚で、その母親の腕の中にいた。
香水の匂いがする。
ほんわかとやわらかな甘いピンク色を思わせる香り。
まるで魔法をかけられているみたいに心地いい。
仁がドアの隙間から気になって覗いている。
気づいた母親は手であっち行けと知らせていた。