「マサシのヤツ、あの頃は「助けて」なんて言わなかったのに、言ったんだ。「葵、助けて」って。私のこと見えなくなって、全然河原に来なかったくせに、突然来てさ。見えないのに、私に「助けて」って。アイツ、助けてほしいんだ、私に」
嗚咽が混じり始めたその声に気が付く。
私はただ、その小さく震える背中に手を伸ばすことしかできなかった。
「マサシと話したい、目が合いたい。マサシを、助けてやりたいんだ……っ」
葵の足元に雫が落ちる。
止まることのないそれは、土の色をただ濃くするばかりだった。
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