過去には、ということは結守神社の昔の神主さんということだろうか。悲しい事っていったい何なのだろう。


 少し気になったのだけれど、悲し気に目を伏せる三門さんを見ると、追及することは憚られた。


 「ああ、そうだ。言霊の力の話だったね」


 気を取り直したように姿勢を正した三門さんは、手を動かしながらそう言った。

 私もいつの間にか止まっていた作業を再開し、三門さんの顔を見る。


 「昨日言った通り、僕や麻ちゃんの中に宿るのは言葉通りの現象を起こす力、言霊の力。言霊の力は主に二通りの力が合わさって、成り立っているんだ」