私はいつの間にか色々な最後を考えることが癖になってた。
ここに来るのは最後かもしれない。
この洋服を着るのは最後かもしれない。
こんな風に綺麗だと思うのは最後かもしれない。
きみと会うのは、最後かもしれない。
そうやって、いくつもの終わりを数えてた。
でも、この光を見て、それはやめようと。
これからは始まりの朝を数えよう。
私がいなくなった世界でも、大切な人たちを照らしてくれるように。
「私、佐原がいたから、こんなに暖かい気持ちを知ることができた。佐原がいたから、自分のことを大切に思えた。私を受け入れてくれてありがとう。私を諦めないでいてくれてありがとう。私を好きになってくれてありがとう」
何万回言ったって足りないくらい、佐原にはありがとうしかない。
「俺のほうこそ、海月と一緒にいられて、こうして今も隣にいてくれてありがとう。好きだよ。この先も、ずっとずっと」
佐原の瞳から涙が溢れて、次に拭ったのは私のほう。
「私、佐原に出逢えて幸せだよ」
「俺も海月に会えて幸せだったよ」
私たちは優しい朝に迎えられて、暖かなキスを交わした。