……コンコン。
平日の静かな昼下がりに病室のドアがノックされた。「はい」と返事をするとドアがゆっくりと開いて、そこから現れたのは外の空気を纏った三鶴くんだった。
「こんにちは」
「うん。こんにちは」
私が倒れたクリスマスから一週間以上が過ぎて、いつの間にか新しい年を迎えた。
世間では穏やかなお正月ムードなのに、私はあれからずっとこの病室のベッドの上で過ごしている。
「兄ちゃんは夕方から来るって言ってましたよ」
「うん。さっきまで電話してた」
佐原は三が日を終えて、またバイトの日々。私へのプレゼントを買うために始めたバイトだったらしいけれど、仕事の先輩にも頼りにされているようで、これからも続けていくと言っていた。
「それで、今日はどうしたの?」
三鶴くんが病室に来ることは事前に佐原から聞いていた。
実は私が倒れてほどなくしたあとに、三鶴くんには病気のことは話しておいた。
三鶴くんとは佐原の弟だと分かる前からの知り合いだし、私が行けなくなってしまった間のバイトもずっとフォローしてくれていたから。