「でも頭から倒れてたら内出血を起こしておそらくダメだった。右肩にアザが出来てたから無意識に頭をかばって倒れたんだろうね」


きっと倒れる瞬間は意識が朦朧としてたはずなのに、まだここにいようとしてくれてる海月の強さに涙が溢れてくる。


俺はずっと海月の心が折れてしまわないように、明るい言葉ばかりをかけてきた。

だって、嫌なことを想像してしまえば、どんどんそっちに引っ張られてしまうから。


でも、本当は海月が病気だと知って。長くないと打ち明けられた日から、怖くて怖くて仕方がなかった。

 

「……お願いします。海月を助けてください。なにか治療してください。……お願いしますっ」



海月を蝕んでいくものをなんとかしたいのに、できなくて。

それが悲しくて無力で、立っていられないほど悔しかったから、『大丈夫。海月がいなくなるわけがない』って、自分に言い聞かせていた。