嫌な味が残らないようにと、佐原はペットボトルの水をすぐに用意してくれて、汚いはずの袋でさえ入り口をテープで止めてくれて、それをコンビニのビニール袋に入れてくれた。
「慣れすぎててちょっとやだ」
佐原は私以上に私のことを理解してくれている。
きっと病気についても色々と調べているだろうし、どんな症状が出てもいいように準備もしてくれている。……それが、嬉しいというより、情けない。
吐いている姿を見られてしまう恥ずかしさと、こんなことに慣れさせてしまってる後ろめたさと、もう我慢することもできないほど症状がひどくなってることが、全部悲しくてツラい。
「いいじゃん。俺は海月がひとりで具合悪くなるより、俺の前でなってほしいよ」
不安定な私の心を見透かしてるように、佐原はそっと頭を撫でてくれた。
「それ、持つから」
私は佐原に持たせたままのビニール袋を受けとる。
吐いたことで体調は楽になった。でも、さっきまで満たされていたオムライスが外に出てしまったので、空気が身体の中に入るたびにひんやりとする。
「……お腹空っぽになっちゃった」
せっかくデミグラスソースとトマトソースのオムライスを佐原と半分ずつ食べたのに。