「本当にそれを望んでいる人を僕は止めたりはしないよ。笑いもしない。それが例え家族でも、親友でも、恋人でも。でも『死にたい』って打ち明けてくれたら、きっとその人はどこかでは『生きたい』と願っているだろうから、それなら一緒に光を探したいと思う。でも杏那のことは、僕が勝手にしてしまったから。僕のあの行為が、さらに苦しめたなら、今度は『止めなければよかった』って後悔するだろうから」


止められた時、様々な思いが去来した。
どうして。
何で。
死ねなかった。
私は死ねなかった。
神様は私に生きることも、死ぬことも許してくれないのか。

そんな思いが胸を占めて、苦しくて、疲れて。

そのまま死ぬ気力を失ってしまった。

今ここにいる私は抜け殻だ。
風化寸前の抜け殻。
何をしても、何をされても、満たされることはない。

私が何も期待しなかったのと同じように、周りも私に期待なんかしない。
必要とされない。
認識されない。
いてもいなくても変わらない存在。

そんな存在になって初めて、分かるなんて、なんという皮肉。
誰かに気にかけてすらももらえない、誰からも思われないというのは、辛い。
嫌われることも、無関心なのも、どちらも辛い。