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雨は憂鬱さと心の弱さを助長させ、ちょっぴり大胆にさせる。
一瞬の気の迷いだったと、自分の中で正当化させたいからかもしれない。
雨のせいだって。
夜のせいだ、とか、酒のせいだ、とかと同じように、雨の陰気な雰囲気のせいだって。
それに病んだついでなら、多少のことは許してくれるような気がした。
そんなことを思ったのは翌日、火曜日のこと。
担当教諭の病欠で、自習になった二時間目の英語の時間に、突然雨が降り始めた。
朝は青空が広がっていたのに、地上は一気に暗澹とした鼠色の雲に覆われてしまった。
周囲は課題プリントそっちのけで(提出の必要がないら)それぞれに時間を使っている。
私は、しとしとと降り続けている雨が一向に止む様子がないのを、頬杖をついて眺めていた。
バッグの底には折り畳み傘が突っ込まれてあったから、帰りは濡れる心配がない。
でも、今日の昼はどこで過ごそう。