「うん、そう」

「如何して、ですか?」

「私の話し相手かな。八城さんは大学受験ないから、早弁して先生捕まえるなんてことも……ある?」

「ないです」

「うん。それに……教室、居づらいでしょ?」


これが少し前なら、死にたいと決心して線路に飛び込むことをする前だったなら、うまくポーカーフェイスの下に隠して「そんなことありません」と躱すことができたはずだが、私はすぐには言葉をつなげなかった。
弘海先輩のことが頭を過ぎったから。
すっと胸のあたりが冷めて、むくりと憎悪が芽を出しかけたが、それは杞憂だった。

見かねて花純先生は、笑顔を作った。