「でもここの学校に入ったのは、大学受験を見越してじゃなかったのかな。多くの人はその様みたいだし」

「……もしそうなら、就職するという娘を父は止めるはずです」

「そうなのね」


そもそも私の入学動機は「環境を変えたい」で、大学受験は二の次だった。
どこも同じようなものだとは思うが、進学予定だった中学校には同小上りが大多数。
小学校で人間関係に失敗した私は、とりあえずあのぬるま湯から抜け出したかった。

結果的にここでも同じような理由で、上手くいかなかったわけだが。


花純先生は唸りながらご飯を咀嚼していたけれど、私は自分のおにぎりに手がつけられず、手のひらで転がして、包んでいたラップをいじっていた。
そこから会話が途切れて、黙々と食事する花純先生を箸運びを眺めていたが


「八城さん、明日から私と一緒にお昼食べない?」

「……私ですか?」


遊んでいた手を止めた。
突然の提案に、戸惑う。