私たちが訪れたのは、九月のライトアップされる時期だった。神社自体も緑に覆われ光の殆ど入らないこの場所に、毎年九月になると、早瀬神社の境内中に灯篭がぶら下げられ、温かい燈の空間ができるのだ。その幻想的な空間の話を噂には聞いていたが、弘海先輩に誘われるまで訪れたことはなかった。人工のはずなのに、どこか温かく、自然な感じがして驚いたのを覚えている。
そのせいか、初めてきた場所のような気がした。
緑ばかりの薄暗い境内。そよりそよりと風が絶えず吹いていて、地上にいるより幾分涼しい。さわさわと清流の音と、葉っぱの重なり合う音が共鳴して、まるで水の中にいるよう。
石畳の参道の先、正面に拝殿があり、その周りを囲むように蛇行した「瀧川」と呼ばれる川が流れているのが見える。
弘海先輩の後に続いて、石段を上がり、鳥居をくぐった。
すぐ右手には小さな構えの社務所があって、受付の巫女さんに軽く頭を下げ、石畳の参道を歩き、そのまま瀧川の方へ。
小さな滝の上へと続く階段の前で弘海先輩が足を止めたので、私も立ち止まる。
「三年前も、一緒に来たね。僕が誘ったんだけど」
弘海先輩は瀧の上流を見ながら言った。
同じように額に汗の滲んでいる弘海先輩の頬は、うっすら赤い。
「そういえば、私たちの船、ちゃんと流れて行きましたよね」
そのせいか、初めてきた場所のような気がした。
緑ばかりの薄暗い境内。そよりそよりと風が絶えず吹いていて、地上にいるより幾分涼しい。さわさわと清流の音と、葉っぱの重なり合う音が共鳴して、まるで水の中にいるよう。
石畳の参道の先、正面に拝殿があり、その周りを囲むように蛇行した「瀧川」と呼ばれる川が流れているのが見える。
弘海先輩の後に続いて、石段を上がり、鳥居をくぐった。
すぐ右手には小さな構えの社務所があって、受付の巫女さんに軽く頭を下げ、石畳の参道を歩き、そのまま瀧川の方へ。
小さな滝の上へと続く階段の前で弘海先輩が足を止めたので、私も立ち止まる。
「三年前も、一緒に来たね。僕が誘ったんだけど」
弘海先輩は瀧の上流を見ながら言った。
同じように額に汗の滲んでいる弘海先輩の頬は、うっすら赤い。
「そういえば、私たちの船、ちゃんと流れて行きましたよね」