晴天。快晴。雲ひとつない青い空。風があって、比較的爽やかな、初夏の日。
気温も今日はそんなに高くない。

中高同時に行われる陸上競技大会は、毎年学校から少し遠くにある、陸上競技場を貸し切って行われる。
走り高跳び、やり投げ、幅跳び、短距離、中距離、長距離、リレー、と個人種目は色々あるけれど、出場するのはクラスの半分くらい。
なので、個人種目に出ない生徒はみんな午後のクラス対抗リレーまで友達と喋ったり、自分のクラスの応援に行ったり、各々だだっ広い陸上競技場でおもいおもいに過ごす。

かく言う私は、去年も、今年も個人種目にエントリーしていない。学級リレーも、私のクラスの人数が多く、その分二周しなければならない生徒を出すのも面倒くさいということで、人材削減のために出ない。うちのクラスだけ三人も多いのだ。仕組まれたんじゃないかと思う。

クラステント内にも、私の居場所はない。いや、場所自体はありはするけれど、私の心境的な問題。貴重品は朝の時点で先生に預けてあるから、水筒と弁当だけが入ったナップザックを背負い、木下に立って滞りなく、競技が進行されているのを俯瞰していた。

生徒たちの歓声と、本部からの場内に流れるアナウンスを右から左に、午前中は本当にただひたすら暇な時間をすごした。フィールド内を囲うように立つ木の下、木漏れ陽の中、六月の風に吹かれて、あまりの居心地の良さに時々船を漕ぎながらやったことといえば、弘海先輩を探すこと、くらい。