「将来的には家族の次、パートナーの次、恋人の次、って友達の順位って低くなるなあ、って思うよ。だから、人生においては一番刹那的な存在」

「いてもいなくても変わらないって言ってるように聞こえます……」

「僕はそうだったよ」


弘海先輩は私に「そうじゃなかった?」と聞いてくる代わりに、小首を傾げた。
弘海先輩のよくやる癖。いい年した成人男性なのに、可愛く見えるから不思議。


「私は……わかんない」


答える代わりに、言葉を濁した。

本当はわかっているかもしれない。きっと、弘海先輩もわかってる。
時間が過ぎれば忘れてしまうものだって思っているかもしれない。
小学校の時も、今だって、そんな風に思っていたから、なんとかやっていけていた。
どう見られてもいい、どう思われてもいい。
卒業すれば、また関わりはなくなるのだから。

でも、美紀だって、芹澤くんだって、私は傷つけてしまった。
自分が傷つかないように選んだ方法は、結局他人を傷つけて、私が一番大切だとする人にも見捨てられるような、罰が下った。

だから気軽に、気安く「友達」だなんて言えない。
周囲の人よりも特別な存在なんて作れない。
誰かを贔屓に見ることが、できない。
無意識にやってしまっていることを考えると、哀れだと思ってしまう。

どうせ、消えるのに。


傷つけられるのも、傷つけてしまうのも、もう懲り懲りだ。