「畠本さんとは、いつから友達?」


木曜日の今日も、お昼はゼミ室にお邪魔している。
弘海先輩の背後に見える机の上には、私が返したハンカチが置いてあるのが見える。
私のリネンのハンカチも、ちゃんと戻って来て今はポケットの中。

花純先生は、生徒に講座をお願いされて退室中だ。

どうしてきいちゃんの話題が上がったのかと思ったが、そういえばハンカチを返してくれときいちゃんに頼んだのは私だ、と思い出した。


「きいちゃん、ですか?」

「きいちゃんって呼んでるんだ」


弘海先輩は、購買のA定食の唐揚げの最後の1つを頬張った。
私は「友達」という言葉に引っかかり、すぐには答えられなかった。

ただ単に「知り合い」というのはなんだか白々しい気もするし、「親友」というにはえらくあっさりした関係だ。
きいちゃんとはあの花壇で一緒に水やりして喋るだけの仲だから。
強いて言うなら、ただの「先輩」だけど。