どこかで期待してしまっていた。
美紀は今までの人と違うかもしれない。
きっと私にとっての特別は美紀だ、と信じていた自分がいたことに気づいた。

でも結局はそんなものも、私の思い込みに過ぎなかった。
線引いて、立ち入らせない。
教えてくれない。
教えてくれれば、また物事も変わったかもしれないのに、教えてもらえない。

どうせ今告白してくれた芹澤くんだって、長くいれば気が変わって私から離れて行くよ。
いい子の下に隠した私に気づいたら、面倒くさくなって、何も言わずに去ってしまうだろう。
だから、最も効果的な方法で相手を拒絶しようと考えた。


——「好きな人はいない。特別な人は作るつもりもない。あと、美紀のことなんて知らない。友達なんて一番信用できないし、恋人に発展する事なんてない。特別は作らない。あなたを特別に見ることは一生ない。だから、付き合えない」


少々酷いかと思ったけれど、そこまで強く言えば、芹澤くんは身を引いてくれた。
けれど、その結果がもたらしたものは皮肉だった。