僕の事故のニュースはすでに世間に広まったのだろうか。

 自ら車に飛び込んで自殺とされて報道されるのだろうか。


 その理由として虐めがあったと、世間では憶測されるだろうか。


 でもその事実は何一つ出てこないことは、自分が良く知っている。


 確かに僕はクラスから浮いてしまっていた。

 自分でも虐められていたとはっきり言える。


 だけど、死人に口なしで、クラスメートも先生も学校もきっと虐めはなかったという事だろう。

 自分たちの保身のために。


 万が一虐めがあったと認めて、それで僕が死んだら、それはそれであてつけとしてまだ意味があるように思えるが、このままでは僕の死はただ無意味だ。


 だから、僕はこのまま簡単に死にたくない。

 このまま、死ぬわけにはいかない。


 反抗期で素直になれずに、嫌な奴のままで終わらせたら、悪い子とされてしまう。


 僕は悪い子として生まれてきた子供じゃないはずだ。

 両親にたっぷり愛され、何不自由なく恵まれた環境で育てられてきた。

 甘やかされ過ぎて、それに僕自身も甘んじてしまった。


 それが当たり前に思い過ぎた。

 僕は、僕は……


 僕がまた記憶を取り戻した時、当たり前だった今までの生活が、苦労の末の上に築かれたものだと言う事に気が付いた。

 そうだ、悠斗と葉羽は僕の両親だ。