6
子供達が帰ったあと、静かになった教室の窓の戸締りをチェックして、俺は再びサボテンの鉢植えを抱えた。
中学生の葉羽の面影を思い出し、あの頃を懐かしく、そして大切に思う。
「これでよかったのかな」
中学の頃の葉羽と再会した一瞬の出来事に、もの悲しくて、俺は暫く感傷に浸っていた。
大人になっても、あの少年だった時の気持ちはそのままに、涙が出る程あの時の葉羽の姿に胸が締め付けられた。
あんなにも小さく、消えゆきそうに繊細だったのだろうか。
年を重ねてから見た葉羽は、まさに妖精のように儚く、透き通って見えた。
無垢過ぎて、今の俺には触れるのも恐れ多いものだった。
それなのに、俺は自分が大人だと言う事も忘れて、葉羽にキスをしてしまった。
俺がおっさんであっても、あの時だけは葉羽と同じ年の悠斗だと自分自身、信じてやまなかった。
どんなに年をとっても、中身はいつも少年の時の気持ちが存在している。
言い訳がましいけど、それが俺に与えられたチャンスとして、その奇跡を存分に味わった。
あの時代の俺がもっと素直な中学生でいたら、葉羽を苦しめる事などなかったのに、また胸が締め付けられてしまう。
色々な事を思い出す。
今となっては懐かしくて、甘酸っぱく、時には苦みを感じて、恥ずかしく、胸がきゅんとしてくる。
葉羽とのキスの後では、余韻がいつまでも残り、俺は幸せな気持ちにふわふわとしていた。
葉羽の事ばかり考えていると、そわそわと落ち着かなかったが、俺は残っていた仕事を片付けて、やっとの思いで家路についた。
時計を見ればまだ夕方くらいなのに、外はすっかり日が暮れ、暗かった。
駐車場に停めてあった車に乗り込み、助手席の足元にサボテンを置いた。
そして安全運転を試みて家に帰っていく。
家といってもまだアパート暮らしだが、いつかは大きな家に住んで、花咲家のような温かい家庭を作るのが夢だった。
やはり花咲家は俺の理想だった。
子供達が帰ったあと、静かになった教室の窓の戸締りをチェックして、俺は再びサボテンの鉢植えを抱えた。
中学生の葉羽の面影を思い出し、あの頃を懐かしく、そして大切に思う。
「これでよかったのかな」
中学の頃の葉羽と再会した一瞬の出来事に、もの悲しくて、俺は暫く感傷に浸っていた。
大人になっても、あの少年だった時の気持ちはそのままに、涙が出る程あの時の葉羽の姿に胸が締め付けられた。
あんなにも小さく、消えゆきそうに繊細だったのだろうか。
年を重ねてから見た葉羽は、まさに妖精のように儚く、透き通って見えた。
無垢過ぎて、今の俺には触れるのも恐れ多いものだった。
それなのに、俺は自分が大人だと言う事も忘れて、葉羽にキスをしてしまった。
俺がおっさんであっても、あの時だけは葉羽と同じ年の悠斗だと自分自身、信じてやまなかった。
どんなに年をとっても、中身はいつも少年の時の気持ちが存在している。
言い訳がましいけど、それが俺に与えられたチャンスとして、その奇跡を存分に味わった。
あの時代の俺がもっと素直な中学生でいたら、葉羽を苦しめる事などなかったのに、また胸が締め付けられてしまう。
色々な事を思い出す。
今となっては懐かしくて、甘酸っぱく、時には苦みを感じて、恥ずかしく、胸がきゅんとしてくる。
葉羽とのキスの後では、余韻がいつまでも残り、俺は幸せな気持ちにふわふわとしていた。
葉羽の事ばかり考えていると、そわそわと落ち着かなかったが、俺は残っていた仕事を片付けて、やっとの思いで家路についた。
時計を見ればまだ夕方くらいなのに、外はすっかり日が暮れ、暗かった。
駐車場に停めてあった車に乗り込み、助手席の足元にサボテンを置いた。
そして安全運転を試みて家に帰っていく。
家といってもまだアパート暮らしだが、いつかは大きな家に住んで、花咲家のような温かい家庭を作るのが夢だった。
やはり花咲家は俺の理想だった。