俺が知りたい言葉はたった一つ──完治。

 それをはっきり見たかった。


 闇雲にネットの情報を集めていても、調べれば調べる程情報が氾濫して、思う言葉が見つけられない。

 見つけられないのは、この病気が治らないと言われているようで、泣きたくなってくる。

 葉羽の両親のあの慌てぶりを思い出しても、なんだか悪い方向に考えてしまって、俺はその晩全く眠る事ができなかった。


 それでも椅子の上にぼうっと座っていると、いつの間にかうつらうつらと船を漕いでいた。

 寝ているのか起きているのかわからない状態。

 ハッとした時は、すでに夜が明けていた。

 
 朝、伯父が書斎にいる俺を見つけて、驚いていた。

「一晩中ここにいたのかい?」

 俺が頷くと、伯父の鼻からため息が抜けて行った。

 怒られるかと思ったが、言葉よりも先にまず伯父の手が、優しく俺の肩に触れた。
 

「大丈夫さ、きっと葉羽ちゃんはよくなるよ」


 そんなありきたりの慰めの言葉でも、ないよりはましだった。