4
葉羽と会えたのは、梅雨が明けた本格的な夏が始まる頃だった。
俺が学校から帰ってくると、白いセダンが葉羽の家の前で止まって、ちょうど葉羽が車から降りてくるところだった。
母親が運転する車は車庫に入らずに、まだ用事があると葉羽を置いて去ってしまった。
葉羽は学校へ母親の車の送り迎えで通っているらしい。
なんと優雅な待遇だろう。
自分とは違う境遇に、少し嫉妬のようなムカつきが現れた。
「悠斗君?」
葉羽は驚いた顔を俺に向けながら、じっと見つめていた。
まだまだ子供っぽい面影を残しながらも、小学生の頃と違い葉羽は女の子らしく成長していた。
髪は肩までかかるセミロング、すらっとした手足、透き通るように白い肌、そして私立の中学のセーラー服がとても似合っていて清楚なお嬢様そのものだった。
ただ、肌の色が白すぎて青白くなっているのは病人みたいだった。
貧血を起こしたのが原因だろう。
この前まで入院してたくらいだ。
まだ体の調子もすぐれてないのかもしれない。
そのせいで儚げさが漂って、益々葉羽が妖精のようにみえてしまった。
妖精──。
懐かしい響きがした。
サボテン爺さんも葉羽をそう呼んでいた。
「久し振り……」
とりあえず愛想もなく、ありきたりの言葉を俺は返していた。
この時久し振りに会えた嬉しさをもっと素直に出せばいいものを、ほんの少し口元を上げるだけでよかったのに、俺は目を節目がちによそよそしい態度を取ってしまった。
葉羽と会えたのは、梅雨が明けた本格的な夏が始まる頃だった。
俺が学校から帰ってくると、白いセダンが葉羽の家の前で止まって、ちょうど葉羽が車から降りてくるところだった。
母親が運転する車は車庫に入らずに、まだ用事があると葉羽を置いて去ってしまった。
葉羽は学校へ母親の車の送り迎えで通っているらしい。
なんと優雅な待遇だろう。
自分とは違う境遇に、少し嫉妬のようなムカつきが現れた。
「悠斗君?」
葉羽は驚いた顔を俺に向けながら、じっと見つめていた。
まだまだ子供っぽい面影を残しながらも、小学生の頃と違い葉羽は女の子らしく成長していた。
髪は肩までかかるセミロング、すらっとした手足、透き通るように白い肌、そして私立の中学のセーラー服がとても似合っていて清楚なお嬢様そのものだった。
ただ、肌の色が白すぎて青白くなっているのは病人みたいだった。
貧血を起こしたのが原因だろう。
この前まで入院してたくらいだ。
まだ体の調子もすぐれてないのかもしれない。
そのせいで儚げさが漂って、益々葉羽が妖精のようにみえてしまった。
妖精──。
懐かしい響きがした。
サボテン爺さんも葉羽をそう呼んでいた。
「久し振り……」
とりあえず愛想もなく、ありきたりの言葉を俺は返していた。
この時久し振りに会えた嬉しさをもっと素直に出せばいいものを、ほんの少し口元を上げるだけでよかったのに、俺は目を節目がちによそよそしい態度を取ってしまった。