俺は葉羽と同じ中学に通うと思っていたが、葉羽は私立の中学へ進んでいた。

 そこは高校もそのまま進学できるところなので、葉羽は小学生で早くから受験に勤しんでいたらしい。

 こっちへ来てからまだ葉羽には会ってない。

 一応暫く伯母の家に世話になるとは花咲家も聞いてはいるだろうが、なんだかバタバタと忙しそうにみえた。


 初めて会った当時の俺と同じような年になった兜とは、「久し振り」と顔を合わせることがあった。

 兜はあの時の面影をそのまま残しつつ身長が伸びていた。

 まだ物怖じしない子供らしさが残り、俺のことはしっかりと覚えていて、再び会えた事を素直に喜んでくれた。

 サボテン爺さんの事を尋ねれば、残念なことに昨年亡くなったと教えてくれた。

 あの時見た、無茶苦茶な手品は二度と拝見できないと思うとなんだか寂しく思えてくる。

 葉羽が師匠と呼んだ、サボテンを愛したお爺さん。

 葉羽もショックだったに違いない。


「それで、葉羽は元気してるの?」


 さりげなく兜に聞いてみたが、兜は首を横に振る。

 そんなにサボテン爺さんのショックが強かったのだろうか。

 だが兜の口から出てきた言葉に俺は驚いた。