これで何もかも上手く行くのだろうか。

 あの街は確かに居心地がいい。

 伯母も金持ちでここよりはいい暮らしが出来ると思う。

 でも俺はそれを素直に喜べなかった。

 なんだか余計に惨めになっていく。


 一時の仮のいい暮らしをしたところで、そこを出れば常にまた元の生活が戻ってくる。

 一時凌ぎが、どこかみじめに情けないもののように思えてくるのだった。


 それでも、ふと葉羽の事が頭によぎった。

 ずっと長いこと会ってなかっただけに、思い出すのは小学生に出会ったときの顔だった。

 それもあやふやな面影となって残っていたから、はっきりとは思い出せなかった。

 洗面所に足を向け、俺は鏡に映った顔をみてみた。

 中学二年となれば、小学生の頃の顔つきとは全然違った。

 だが毎日見ていた自分の顔が、どのように変化したのかなんて、毎日見ていたら自分自身説明し難い。

 ただ、目つきだけが陰険で暗い男になったと、鏡を通して思った。