最後の一口を食べ終え、ふぅ、と一つ息をつく。

 結局、証拠らしい証拠は二人が罪を認めた後で出てきたのであって、あの時シラを切られていればこうして事件が無事幕を下ろすことにはならなかっただろう。そもそも、殺人の被害者である美由紀の証言を使って自白を引き出すなんてナンセンスなわけで、今回は運が良かったとしか言いようがない。

 つまるところ、今回の事件を解決したのは美由紀なのである。自分が殺された事件の犯人を自分で挙げた。前代未聞もいいところだ。

 彼女の声が聴こえていなければ、事態は膠着《こうちゃく》したまま時だけが過ぎていき、詠斗がこの事件に関わることもなかっただろう。考えるだけ無駄なのだろうけれど、つい「どうしてこうなったのか」と思ってしまう。

 それに、考えることなら他にもある。
 こちらのほうが詠斗にとっては大きな問題だった。