「こいつらってさあ、おんなじ大きさで、おんなじ形で、色も模様もおんなじだろ。同じ貝の貝殻をたっくさん持ってきても、こいつとぴったり合わさるのは絶対にこいつしかいないわけじゃん。こいつらは絶対にこいつら同士でしか一緒になれない組み合わせなんだよな。それってすごくね? って思って」

「まあ……そうだね。だから貝合わせって遊びが成立するわけだし」

「うん。そんでさあ、思ったんだよ。凪沙と俺もそうだよなって。俺は凪沙じゃなきゃだめたし、凪沙も俺じゃなきゃだめだろ。他の相手なんて、なんつーか、絶対に違うだろ。代わりなんて絶対なれないじゃん。だから、俺たちは貝殻のかたわれとおんなじなんだなって思ったんだ」

私は黙って、優海の手の中のふたつの貝殻を見つめた。

左右対称の双子のような、同じ形、同じ色、同じ模様の貝殻のつがい。

お互いにお互いとしか絶対に合わさらない、唯一無二のかたわれ。

「うん……そうだね。そうだ」

私は優海の肩に頬を寄せ、頷いた。

たったひとりだけの、誰も代わりにはなれない運命の相手。

私にとって優海はそういう存在だ。

そして、優海も同じように思ってくれていると分かる。

彼の言葉が、表情が、態度が、仕草が、触れる指先が、全てがそれを私に伝えてくれる。