七月半ば、期末試験が終わった。
私は今回も学年トップだった。三年生は二学期から受験のため試験はなくなる。進学校は三年一学期までで三年分のカリキュラムを教え終えているのだ。つまり、私は三年間、この学校のトップを守り抜いたことになる。
だけどそれがなんだと言うのだろう。

テストの結果を鞄に自宅に帰る私は、それをお母さんに報告することすら億劫だった。頑張る意味が私にはわからない。
生きている意味も正直曖昧だ。

葬儀のあの日、聖には言った。区切りをつけようと。私たちは生きているのだから、迅の分まで生きなければならない。迅の大事な弟と妹として。
しかし、私の本音はそんな尊い誓いとは真逆のところにあった。
生きていたくない。
もう何もしたくない。
だって、この世界には迅がいないのだ。母との軋轢や、日々の憂鬱なんて、迅がいてくれれば問題じゃなかった。だけど今の私にはそれを跳ね除けるパワーがない。
勉強を頑張ったって、志望校に合格したって、それをお母さんが喜んでようやく私を認めてくれたって、もはやなんの意味もない。

私の生きる指標は迅だった。
たとえ、この恋が叶わなくても、迅が生きて私の前でキラキラ輝いていてくれるだけで私の人生は救われた。
迅がいない。救いは永劫こない。