「つい最近までしてたヤツが別に置いてあったからさ。母ちゃん、それを真香につけておいてほしいってさ」
「……うん、嬉しい」

私が渡して、迅の左手にずっと巻きついていたもの。こんなかたちで私のもとへもどってくることになるなんて思わなかった。

迅は死んでしまったのだ。本当に、もうどこにもいないのだ。
私は天を仰いだ。涙がもう一筋こめかみに向かって滑り落ちた。
雲間の青空はびっくりするほど青かった。


翌日、私は迅の実家を訪れた。
伯母さんから渡されたミサンガを手首につけ、伯母さんとふたりで少し泣いて数日続いた一連の葬儀関連のことはすべて終わった。