翌日の葬儀はからりと雨があがり、清々しい空気だった。紫陽花は終わりかけ、もうひと
雨かふた雨で梅雨も明けるだろう。夏を予感させる青空だ。

火葬場に行くこともないので、そのまま御斎を少ない親族で行った。お母さんが早く帰って勉強をしなさいと耳打ちしたけれど、無視をした。従兄を見送る会より勉強を優先させたい母親に苛立ちしかなかった。

「真香、ちょっと外でない?」

会も終盤、声をかけてきたのは聖だ。迅の10歳下の弟は、私にとっても弟同然の存在。迅より短い髪の毛は坊主に近く、野球部に在籍しているのは知っているけれど『らしく』なったなぁと思う。

「そこのコンビニまでアイス買いに行こうよ」

中学一年生に、御斎の場はつまらないだろう。私は頷き立ちあがり、聖と親族の輪をそっと抜けた。
近くのコンビニに向かう。私も聖も制服姿だから、誰も葬儀の後だなんて思わないんだろうなと思った。お線香の匂いの染みついた制服を、明日からも同じように袖を通せる気がしない。

「あ、これにしよーぜ。シェイクみたいになるやつ」

聖はまだあどけない横顔でアイスのケースを探っている。迅とは顔の系統が違うけれど、雰囲気は少し似ていた。成長につれ、もっと似てくるかもしれない。それは、ものすごく辛いことのような……忘れ形見を見る喜びのような。
今はなんとも言えない。痛いばかりだ。

「真香、早く選べよ」
「偉そうに言わないで。これにする」

私は聖が選んだレジ横で作るシェイクタイプのアイスを手にした。聖はメロン、私はチョコミントだ。