声が震えた。私は優衣に視線だけ合わせて矢のように飛び出した。バスを待つのももどかしい。なかなか来ない電車に苛立つ。手の中の携帯の画面をタップする。流された人の情報は出ていないだろうかと探し、見つからず焦れた。

駅からは走った。ひたすらに走る。私の家は素通りして、迅の家へ向かう。
どうかどうか、迅じゃありませんように！

迅の家の前には伯父さんの車が停めてあった。おかしい。この時間、伯父さんは仕事で乗って行っているはずなのに。
玄関の戸は開け放たれ、中から伯母さんの声が聞こえる。何か叫んでいる。
どっどっと心臓の鼓動が速くなる。やめて。うそでしょ。

「真香！」

呼ばれて弾かれるように振り向くと、私の後ろに聖がいた。今まさに中学校から帰ってきたという様子だ。自転車を降り、真っ青な顔をしていた。

「真香……兄ちゃんが……」

聖にはすでに連絡がいっているのだ。
私は最後まで聞く前にその場にへたり込んだ。