5月半ば、中間試験が終わった。開放感ではしゃぐクラスメートの中、黙々と帰る支度をしていると優衣が教室の中に入ってきた。
「ごはん食べに行こーよ」
私の予備校が夕方からなのを優衣は知っている。優衣は体育大にスポーツ推薦を狙っている身なので、予備校は保険で夏からと言っていた。今は空いているのだ。
「ラーメンはやだからね」
「定食屋さんは?うちの近所の。真香の好きなチキン南蛮あるよ」
「行く」
優衣はこの辺りが地元だ。定食屋は優衣のお父さんの幼馴染のおうちだそうで、何度か行ったことがあるけどすごく美味しい。
高校を出て、優衣の家はバスで少し駅方向から離れる。
「迅さんいつまで九州なの?」
優衣がバスのつり革につかまって聞いてくる。優衣はあったことはないけれど、迅の存在を知っているし、私の片想いも知っている。
「まだ行方不明の人がいるから。川の氾濫で海まで流されちゃった方もいるんだって」
「まだあっち雨がすごいってね。心配だね」
「うん」
そう、迅のことが心配。被害に遭った人はたくさんいるのに、私は助けに行った迅を心配してる。それが迅の仕事だし、誇りに思ってもいるけれどどこかで思ってしまう。そんな危ない仕事、迅がやらなくてもいいじゃないって。
左手首に新しいミサンガをして行ってしまった迅。早く帰って来ればいいのに。なんでもなさそうに笑ってほしい。
頻繁に連絡を取り合っているわけじゃないけど、遠くに行く前後は迅の方から連絡をくれる。ただいまの連絡が待ち遠しい。
「ごはん食べに行こーよ」
私の予備校が夕方からなのを優衣は知っている。優衣は体育大にスポーツ推薦を狙っている身なので、予備校は保険で夏からと言っていた。今は空いているのだ。
「ラーメンはやだからね」
「定食屋さんは?うちの近所の。真香の好きなチキン南蛮あるよ」
「行く」
優衣はこの辺りが地元だ。定食屋は優衣のお父さんの幼馴染のおうちだそうで、何度か行ったことがあるけどすごく美味しい。
高校を出て、優衣の家はバスで少し駅方向から離れる。
「迅さんいつまで九州なの?」
優衣がバスのつり革につかまって聞いてくる。優衣はあったことはないけれど、迅の存在を知っているし、私の片想いも知っている。
「まだ行方不明の人がいるから。川の氾濫で海まで流されちゃった方もいるんだって」
「まだあっち雨がすごいってね。心配だね」
「うん」
そう、迅のことが心配。被害に遭った人はたくさんいるのに、私は助けに行った迅を心配してる。それが迅の仕事だし、誇りに思ってもいるけれどどこかで思ってしまう。そんな危ない仕事、迅がやらなくてもいいじゃないって。
左手首に新しいミサンガをして行ってしまった迅。早く帰って来ればいいのに。なんでもなさそうに笑ってほしい。
頻繁に連絡を取り合っているわけじゃないけど、遠くに行く前後は迅の方から連絡をくれる。ただいまの連絡が待ち遠しい。